まひるの部屋

まひるの部屋

楽しいことを語りたい

若き友人たちへ/筑紫哲也 〜大学生の本棚〜

 f:id:MahiRoom:20201114182450j:plain

 

大学生の私まひるが読んだ本の感想を書き散らす”大学生の本棚”シリーズです。

備忘録のようなものだと思ってくださいね。 

 

今回は「若き友人たちへ 筑紫哲也ラスト・メッセージ/筑紫哲也」です。

 

 

 

目次

 

本の内容

本の内容をざっと確認するには目次を見るのが手っ取り早いと考えています。

 

●本書の目次

「まえがき」にかえて

若き友人への手紙

第一章 まず憲法について話してみよう

地域活性化と大都市/言葉の裏側/憲法というテーマ/風が吹いたら、日本国憲法が/憲法修正第1条!

第二章 そもそも日本人とは何者か

「日本人論」が好きな日本人/エスニック・ジョークという誇張/世論調査の嘘/アメリカの日本人評価/「半官贔屓」という感情/日本人の好きな悲劇の英雄/バンドワゴン効果

第三章 二つの日本人論を読む

美しい国」 を唱えた首相/『武士道』と学徒出陣/新渡戸稲造の奥さんの影響/「道心」と「武士道」/高貴なる義務/松岡洋右という存在/「愛国主義」をめぐって/相手の国を知るということ/『菊と刀』はなぜ書かれたのか/日米の決定的な違い/日本人の奇怪至極な言い回し/「解放軍」がやってきた

第四章 沖縄から日本が見えるか?

学童疎開という経験/琉球の歴史と島津藩/特攻隊基地と疎開/言葉とスパイ/「ひめゆり」に描かれない悲劇/沖縄という希望

第五章 様々なメディアを歩いてみよう

映画の愉しみ/娯楽と芸術/『千と千尋の神隠し』を理解できないハリウッド/一神教多神教/最高の監督は誰か?/アンゲロプロスには困り果てる/暗い空が描く現実/では、ベストワンの映画は?/次は、演劇の世界へ/新しい世代、新しい試み/勘三郎襲名興行/今の日本との相似/写真の価値とは?/写真とジャーナリズム/沢田教一の写真の衝撃/倒れた兵士の前で、取材か救出か/写真家の立ち位置/メディアのコングロマリット化/金大中さん、後藤田正晴さんの思い出/ある右翼人士と憲法

第六章 雑誌と新聞をめぐる私的ジャーナリズム論

あるアンケートから/無限の進歩幻想/活字、写真、ラジオ、そして……/苦戦する出版業界/デジタル革命と人間の能力/総合誌という存在/表現力の問題/入社試験での冷や汗/権力を倒したジャーナリズム/新聞と雑誌の違い/ハードプルーフという考え方/裏取りという作業/まったく逆の批判/情報源秘匿という原則/編集者黒衣論

第七章 国家、この厄介なるもの

モッtも凶暴な生き物とは/民主主義とナショナリズム/東アジアサミットで/ナショナリズムパトリオティズム/国家論をめぐる右翼と左翼/呪いのキイワード/国民国家とは何か

第八章 教育こそが国の基本である

文部科学省という病/フィンランドでの取材から/日本とフィンランドの関係/「すべて管理」が日本流?/全員で支えるという思想

第九章 「知の三角形」という考え方

情報化社会のなかで/表現への欲求/抽象化することへの意味/好奇心こそジャーナリスト/体が悟る瞬間

第十章 この国がおかれている現実を見つめる

自分の頭で考えるということ/この国の三つの危機/私たちのお金が……/疑うことを学ぶ/情報社会の中の護身術/飛ぶのが怖いか?

第十一章 そして、この国の行方は……

流行語大賞から/言葉は時代を反映するか?/厄介な独裁/国家の優先課題とは何か?/家賃月250蔓延と年収200万円の間で/過疎地域は、もうなくなる?

「あとがき」にかえて

思い出す事など

 

 本書は2008年に集英社の刊行PR誌『青春と読書』で連載された「若き友人への手紙」と大学の講義テープから構成されたものです。

ジャーナリストとして 、現代日本(2008年当時)への批判、問題意識が描き出されています。

 
●ページ数:251

●発売日:2009年10月16日

●著者:筑紫哲也(ちくし てつや)

 一九三五年生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、朝日新聞社入社。政治部記者、ワシントン支局を経て「朝日ジャーナル」編集長。八九年に退社し、その後、ニュースキャスターに転じる。長らく「筑紫哲也 NEWS23」で親しまれる。著書に『ニュースキャスター』(集英社新書)『このくにの姿』『このくにの行方』等。二〇〇八年、逝去。

 

f:id:MahiRoom:20201114194035j:plain

 

 

感想

 

私はこの本を読んで頭をガツンと殴られたような衝撃を受けました

語彙や教養レベルが半歩上で「ここまで登っておいで」と「出直してこい!」とが同時に訪れたような感覚でした。

というのも、私は無教養で語彙力も欠如しているので、本書の内容は私にとって半歩上のレベルだったのです。

大学生なら知っていて当たり前だよね」と言わんばかりの内容にこちらも燃えました。

私はこのような自分のレベルの低さを突きつけられる本は大好きで、読み進めるとともに、とても高揚しました。

 

例えば

『「半官贔屓」という感情』という章があるのですが、私は「半官贔屓」という言葉を知らなかったので、まずここで悔しい思いをした一方、勉強になりました。

 

他にも

「日本人はどんな民族化」を日本人はまったく説明していない。という前置きのあと、唯一対外的に日本人を説明した本として、新渡戸稲造の「武士道」が挙げられます。

そして、「武士道」が書かれた背景や「武士道」が果たした役割、影響などにも触れられています。

もちろん私は「武士道」を読んだことはありませんので、ここでも非常に悔しい思いをしました。

 

f:id:MahiRoom:20201115102314j:plain

さて、ここでコーヒーブレイクです。飛ばしていただいても構いません。

 

 
 さて、私がこの本に出会ったのは2020年秋。
実家の本棚を宝探しのように見ていると、ふと目に入ってきました。
それまでも何度も見た実家の本棚。
なぜ今まで手に取ることがなかったのでしょうか。
 
本との出会いというのはいつもこういうものですよね。
心がその本を求めている時に初めてその本が目に飛び込んんでくる。
書店でもよくあることです。
読書が好きな人はこのときめく感覚をそれぞれ持っているはずです。
 
まず、前提として私は筑紫哲也さんを存じ上げませんでした。
ですから、人柄や語り口などの先入観も一切なしに本書を読み始めたのです。
 
読み進めるうちに、冒頭でも述べたような「頭をガツンと殴られた衝撃」を受けてからというもの、食い入るように読み耽りました。
 
私はこの感覚を求めて読書しているようなものなので、これほど嬉しいことはありません!
 
 
そして、驚くことに本書を読み終えたのちに読んだ「聞く力/阿川佐和子」にも筑紫哲也さんの名前が登場したです。
読書をする人にとって、このような偶然というのはこの上ない幸福ですよね。
少しずつ、世界が広がっているような感覚を求めてまた本に手が伸びてしまうのです。
 
 
「感想」の冒頭で、私は本書に衝撃を受けたと述べましたが、衝撃を受けた例を他にもいくつか紹介しておきます。
 
「日本人とはどういう民族か」を日本人は説明しない。という話は本書に度々登場します。その上で、外国から見た日本について描かれている本としてルース・ベネディクトの「菊と刀が挙げられています。
第二次世界大戦中、アメリカが敵国日本を打ち負かす戦略を立てるために、まずは日本というものを理解しようとしました。その研究結果が「菊と刀」です。
菊と刀」が書かれた理由や「菊と刀」という観点から、アメリカがベトナム戦争に失敗した理由を少し探ったりもしています。
 
日本が現状(2008年当時)抱える課題を歴史やメディア、ジャーナリズムの観点から論じているので、新しい見方を身に付けられます。
 そして何より
 己の無知を突きつけられます。
それと同時に知的好奇心を刺激されます。
 
ちなみに私はこの記事を執筆している時点では「菊と刀」を読んでいます。

 

まとめ

歴史、メディア、ジャーナリズムから半歩上の教養で語られることで、知的好奇心を刺激される本

 

参考図書

最後に本書に登場した参考図書を紹介しておきます。全て網羅できていないかもしれませんがあしからず。

ちなみに私は、まず「菊と刀」「武士道」を読んでみることにします。

武士道/新渡戸稲造